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鎌倉のアカボシゴマダラ

2010.3.4 更新

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 2001年初秋(9月17日)、鎌倉市手広の市民農園で作業中、見慣れない蝶が優雅に滑空していた。常時用意している捕虫網を車から取り出し、悪戦苦闘しながら追い回して、ようやく捕らえる事が出来た。全体が黒白の紋だが、後翅に鮮やかな赤紋がある中型の蝶で、すぐにタテハチョウ科のアカボシゴマダラとわかった。この蝶は日本では奄美大島とその周辺の島のみにしか見られないが、香港、台湾、中国、韓国、北朝鮮など日本の周辺には広く分布いる。そして地域毎に斑紋に違いがあることから、これら各産地の標本を手に入れ、比較検討した結果、後翅亜外縁にある赤列紋の色や形などから、中国産の個体に最も類似していることがわかった。

 このことを、専門誌である「月刊むし」に投稿したが、その後、この年には私の他に数頭目撃され、鎌倉市に近い横浜市戸塚区で1頭採集されていたことがわかった。

 翌年(2002年)には鎌倉市、藤沢市で多くの個体が見られるようになり、食草であるエノキの幼木から幼虫も見つかつている。そして、年々分布を拡大し、現在では神奈川県以外でも東京都、埼玉県南部にもみられており、最初の発生地である鎌倉市、藤沢市、横浜市では発生数も多く、市街地に普通に見られる蝶になっている。

 何故中国産のアカボシゴマダラが日本に生息するようになったのか。単純に考えれば台風などで飛来したとか、輸入物と一諸に運ばれたとも考えられるが、この蝶の場合可能性は低い。マニュアが中国から手に入れた幼虫を、飼育中に逃げ出したのが広がったものではないかと推測されている。そして、食草であるエノキが市街地などに多くみられること、天敵が少ないこと、耐寒性があり冬を越せることなどから、急激に発生したものと思われ、今後、分布が拡大し日本全国に広がる可能性も十分考えられる。

月刊むしに掲載された記事

上 鎌倉市産、下左 奄美大島産、下右 中国本土産

上 鎌倉市産、下左 台湾産、下右 香港産

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