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ヒメシジミの前翅開張と発生地の標高

2010.3.3 更新

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 定年後、蝶の採集を本格的に再会したが、定まった目的はなく、海外(東南アジア、ヨーロッパ)に行ったり、ベニヒカゲやヒメシジミを集めたりしていた。特にヒメシジミについては「ゆずりはクラブ」の記事を読んで、山形のアサヒ型にとりつかれ何度も通い、引いては全国のヒメシジミを集めるようになった。その中で産地の標高と個体(翅開張)の大きさに関連が見られたので報文(アグロ虫NO9)にまとめた。

ヒメシジミの変異Ⅰ 前翅開張と発生地の標高

 斑紋の変異と個体の大きさを調査するため、栃木県内の3産地と長野県長野市戸隠でヒメシジミを採集した。斑紋の変異については現在調査中であるが、雄の前翅開帳と発生地の標高との間に顕著な関連がみられたので報告する。

1、調査の方法
 栃木県内の3ヶ所と長野市戸隠で、2005年6月~7月にかけ、なるべく新鮮な♂成虫を無作為に1ヶ所で100頭採集した。採集にあたっては、多くの個体が群れている場所を選び、♂のみを採るなど個体群への影響を最小限にするよう配慮した。採集した個体はすべて展翅し、計測は前翅の縁毛をふくめた前翅長を、デジタルノギス(シンワ測定株式会社製)を用い0.1mm単位で行った。

 なお、低地産の比較対照として2001、2002年に採集した、山形県小国町長沢付近の♂個体100頭も合わせて測定した。

2、調査地点(標高)および採集日
日光市奥日光スキー場(約1450m)2005年7月8日、13日
日光市旧藤原町鶏頂山登山口(約1200m)2005年7月1日
日光市旧藤原町横川(約750m)2005年6月11日、18日
長野市戸隠大橋林道(約1200m)2005年7月5日、6日
山形県小国町長沢(約300m)2001年6月19日、2002年6月6日

3、考察
 栃木県3産地の前翅開帳の平均は、標高が高いほど短く(小さな個体)、標高が低いほど長く(大きな個体)なる傾向が見られた。すなわち、1450mの奥日光湯元では平均前翅開帳は28.4mmなのに対し、750mの藤原町横川では30.0mmと両産地間に大きな差が見られた。そして1200mの藤原町鶏頂山登山口では28.9mmとその中間の長さであった。このことは、対照として測定した1200mの長野市戸隠は29.5mm、270mの山形県小国町では30.8mm(5産地の中では最も長い)で、栃木県内3産地と同様の傾向を示した。

 標高が高い産地ほど個体が小型になる要因としては、発生地の気象条件、環境条件、食草の種類や発生量、摂食期間、共生アリとの関係、遺伝形質などが考えられるが現時点では定かでない。

測定した500個体のうち、
最大の個体は長野県戸隠の34.0mm、
最小は栃木県奥日光の22.4mmであった。

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