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「虹」は虫の仲間

2010.3.4 更新

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 「虹という字に何故ムシヘンが付いているのか、考えたことがありますか。」改めて調べてみると、古代中国では「ニジ」を虫の1つと考えたらしい。虫という字は狭義にはいわゆる6本足の昆虫類を指すが、広義には蛇や龍など長い動物をはじめとして蜘蛛、蟹、蛙、蛤、蛭、蛸、蝮など多くの昆虫以外の動物が含まれている。ちなみに虫偏の付く漢字は「大漢和辭典(諸橋轍次)」によると1158字もあり、鳥編の893字、魚編の677字よりはるかに多い。

 工は貫くという意味があることから、「ニジ」を天空を貫く長い長い虫(蛇)に例え「虹」と表現したという。そして、夏の夕立の後などに見ることができる色鮮やかな虹はオス、その外側に色の順が逆になった虹がもう1本見えることがあり、これをメスとして「蜺(ゲイ)」と呼び、あわせて「虹蜺(コウゲイ)」という。虹蜺とはあまり聞きなれない言葉だが、中国では天橋や桟閣を「虹蜺閣」と称したり、唐の李白が虹を釣糸に見立てた「虹蜺絲」を転じて豪邁なことのたとえに用いたりしている。

 「ニジ」と名のつく昆虫は案外少ない。日本では甲虫類に少し見られるだけだが海外ではオーストラリア北部に産するニジイロクワガタが知られている。世界で最も美しいクワガタムシと言われており、赤銅色~緑色のメタリックのかかった体色は、昆虫に興味がない人でもとりこにしてしまう魅力がある。近年は飼育が安易なためかペットショップで安価に購入できるようである。
このメタリックの輝きはタマムシでも見られ、この原理は近年詳しく研究されている。これは構造色といわれ、染料の色とは異なり光の回折、屈折、干渉、散乱に基づく色であり微細なナノ構造がもたらす発色で、食器などに実用化されている。

 アマゾンや中南米の熱帯雨林に生息するモルフォチョウは金属光沢のある鮮やかな翅を持つ美しい蝶で、空飛ぶ宝石といわれている。この輝きも構造色が生み出すものでこの原理を応用し、携帯電話や車の塗装、マニキュアなどで製品に用いられている。また染料を使わず発色する繊維も開発され「モルフォテックス」という商品名で販売されており、ウエディングドレスやネクタイなどに使われている。

 自然の中には新しい技術へのヒントがたくさん隠れているが、この原理を研究し実用化する人間の能力も素晴らしいものと言えよう。

ニジイロクワガタの模型(左雌、右雄)

鎌倉で見られた虹蜺(コウゲイ)
2002年11月25日

カラースプーン・フオーク(新潟県燕市 中野科学社製)

モルフォチョウ

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