トップ › 鎌倉市の蝶の記録

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 鎌倉市は神奈川県の中南部にあり、相模湾に面した、いわゆる「湘南」と呼ばれる温暖な気候の地です。
  しかし、首都圏の人口過密地域に位置しているため、住宅や工場などが全体の6割を占めており、開発の波が押し寄せてきています。

  一方海岸から離れた内陸部は、標高100m前後の丘陵地が連なり緑も多く、豊かな自然に恵まれています。

  これらの緑地の多くは、古都保存法によりその「歴史的風土」の保存がはかられ、また、首都圏近郊緑地保存法により「近郊緑地保全区域」として緑が守られています。
  蝶の多く棲息する、鎌倉中央公園、広町緑地、台峰緑地は市の「緑の基本計画」に基ずき自然を残した都市公園として整備されつつあります。
この緑地の保存につきましては、市民の関心も高く、ボランテア活動も盛んで、幾つかの団体も作られ活動ております。

 私は、鎌倉市に生息している蝶について、その種類、発生場所・時期・発生量とその生態を数年前から観察してきました。
鎌倉の蝶が、将来とも市民の力で長く保存される事を願い、その概要を紹介いたします。

 鎌倉市内で2008年から2015年の8年間に、目撃または採集された蝶は次の5科59種類です。
この他に偶発蝶としてリュウキュウムラサキ、カバマダラの2種が見られている。

近年鎌倉市で見られた蝶の分布状況とその発生量

種類名 県立フラワー
センターと周辺
中央公園と
周辺(台峰)
広町緑地 衣張山と周辺 発生量
ジャコウアゲハ  
アオスジアゲハ
アゲハ
キアゲハ  
ナガサキアゲハ
モンキアゲハ  
クロアゲハ
オナガアゲハ    
カラスアゲハ  
ツマキチョウ    
モンシロチョウ
スジグロシロチョウ
キタキチョウ
モンキチョウ
テングチョウ  
ヒメアカタテハ
アカタテハ
キタテハ
ヒオドシチョウ    
ルリタテハ  
メスグロヒョウモン      
ミドリヒョウモン    
ツマグロヒョウモン
コミスジ  
イチモンジチョウ  
ゴマダラチョウ
アカボシゴマダラ
コムラサキ      
ヒメウラナミジャノメ
コジャノメ  
ヒメジャノメ  
ジャノメチョウ    
クロコノマチョウ  
ヒカゲチョウ  
サトキマダラヒカゲ  
アサギマダラ  
ウラギンシジミ
ゴイシシジミ    
ムラサキシジミ  
ムラサキツバメ
ウラゴマダラシジミ      
アカシジミ  
ウラナミアカシジミ  
ミズイロオナガシジミ  
オオミドリシジミ    
ミドリシジミ      
トラフシジミ    
ベニシジミ
ヤマトシジミ
ツバメシジミ
ルリシジミ
ウラナミシジミ
アオバセセリ      
ダイミョウセセリ
コチャバネセセリ  
チャバネセセリ    
キマダラセセリ  
イチモンジセセリ
種類数 24 56 52 47  

クロマダラソテツシジミは除く

 また、過去に鎌倉市にどのような蝶が棲息していたかを調査しました。
鎌倉市の蝶に関しては、まとまった刊行物はありませんが、次の報告がありました。

  • 大須賀秀郎(1972) 玉縄及び鎌倉三浦半島の蝶 SNOCH第12号
  • 神奈川県環境部(1991) 地域環境評価書(資料編) 
  • 湘南昆・山崎調査団(1994) 鎌倉市山崎のチョウ・トンボ・アリの記録 湘南昆虫(6)14
  • 慶応大SFC研(2003) 鎌倉市の自然環境調査報告書 
  • 岡部洋一(2004) ヒオドシチョウを鎌倉市と横須賀市で目撃 かまくらちょう(61)59
  • 津久井不二雄(2004) 2001年~2002年の藤沢市・鎌倉市におけるミドリヒョウモンの記録 相模の記録蝶(15)40
  • 菅井忠雄(2005) ヒオドシチョウの目撃記録 かまくらちょう(63)40
  • 片瀬隆司(2009) 鎌倉の蝶(私信 未発表)
  • 佐野真吾(2010) 2007年、鎌倉市十二所でミヤマセセリ採集 かまくらちょう(75)49
  • 鈴木勝・中村なおみ(2010) 鎌倉市・藤沢市におけるクロマダラソテツシジミ2009年の記録 相模の記録蝶(24)4
  • 上村文次(2016) 鎌倉広町緑地に舞う蝶 広報印刷株式会社出版センター


      これらの文献を参考に調査した結果、上記55種の他に、過去に鎌倉市で採集・目撃された蝶は次の10種が挙げられます。

  • ミヤマカラスアゲハ
        玉縄(1970 大須賀)の記録あり、近年横浜市金沢区で目撃されている。
  • スミナガシ
        1980年代に山崎で目撃したとの記載はあるが詳細は不明
  • オオムラサキ
        玉縄(1968小宮山)の記録がある。
  • アサマイチモンジ
        玉縄(1971大須賀)の記録がある。
  • オオチャバネセセリ
        1990年代前半までは普通にいたとの記載がある。山崎、寺分(1978~84片瀬)の記録がある。
  • ミヤマセセリ
        1970年代に普通にいたとの記載がある。近年では十二所(佐野2007)の記録がある。
  • ホソバセセリ
        今泉散在ケ池(牧林1973)、十二所(岡部1985)の記録ある。


      これらの蝶は、鎌倉市では絶滅した種もあると思われますが、近隣の地域で採集・目撃されたとの報告もあり、棲息が再確認できることを信じ、今後共調査を継続したいと思います。

     また、近隣の地域で棲息が確認され、鎌倉市でも分布の可能性がある蝶としては次の種類があります。

  • クロヒカゲ(横浜市瀬谷区・都築区・緑区・青葉区、平塚市、大磯町)
  • コツバメ(横浜市緑区・青葉区、平塚市、大磯町)

  • 鎌倉市の概略図

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